自分で取る許可シリーズ:建設業許可を自分で取りましょう!
建設業者の皆さま、お仕事ご苦労様です。
行政書士の秋田です。
弊所では、建設業許可のご相談を承っておりますが、ご相談に来てくださる皆さまの中に、「一回自分でやろうと思ってやってみたんやけど途中で分からなくなってな、諦めたんや~。」とおっしゃる方がいらっしゃいます。
せっかくやる気になられたのだから、出来れば、最後まで一人で出来るようにと思い、自分で出来るシリーズのブログを書くようになりました。
出来る限り簡単な言葉でお伝えできればと思います。ご参考にして頂ければ幸いです。
まずは何から手を付けましょうか?
まず、最初にやることは、
確認です。
建設業許可を取るには様々な要件があることは、ご存じだと思います。
ただ、具体的にどんな要件があり、どうやって証明すればよいのかまでは、まだご存じないかもしれません。
ですので、ご一緒に確認していきましょう。
1 建設業許可が必要ですか?
(1)いくらの金額の工事に建設業許可が必要なの?
建設業許可を取りたいな~とお考えになられたという事は、なんらかの必要性があってのことだと思います。
ですが、ホントに建設業許可が必要ですか?
簡単にいうと判断基準は、500万円以上の工事を請負うか、どうかです。
建築一式工事の許可を取る場合は、1500万円以上です。
この金額には、材料費、消費税を含みます。
詳しくは、こちら(「そもそも許可が必要ですか?」)からどうぞ。
(2) どの許可を取ればいいの?
建設業許可が必要だと分かったところで、次は、どの許可を取ればよいのでしょう?
「一般建設業許可」と「特定建設業許可」、「知事許可」と「大臣許可」
それぞれ名称はお聞きになったことがあるかもしれません。
まず、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の違いは、金額です。
そして、下請けに出すときの金額を指します。
元請工事の内、下請に出す工事の金額が総額で3000万円以上(建築一式工事の場合は4500万円以上)となる場合は、特定建設業許可が必要となります。
ですので、3000万円未満の工事を下請けに出す場合は、一般建設業許可になります。
次に、「知事許可」と「大臣許可」の違いは、簡単に言うと営業所の数と住所地です。
営業所とは、本店又は支店もしくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいいます。
営業所が複数あり、かつその所在地が複数の都道府県に分かれる場合は国土交通大臣許可となります。
詳しくは、こちら(「大臣許可のメリットとデメリット」)からどうぞ。
(3)どの業種を取りますか?
既にご存じかとは思いますが、建設業には29の業種があります。
それぞれが、どのような工事内容を行うのかを確認してみて下さいね。
時代の流れで昔とは工事内容が変わっているものもあると思います。
工事内容について、詳しくはこちらからどうぞ。★★
要件さえ満たせば複数の業種を一度に取得することも可能です。
一度の申請で新規許可の場合は9万円の申請費用がかかり、業種追加をする場合には5万円の申請費用がかかるので、出来るならまとめて取得しておいた方がお得です。
申請費用については、こちらからどうぞ。★★
2 建設業許可の要件は?
取得する業種が決まりましたか?
取るべき許可と業種が決まれば、その許可を取得する要件を備えているかを確認してみましょう。
建設業許可を取るには、一般的に5つの要件があります。
①経営業務の管理責任者がいること
②専任技術者がいること
③請負契約に誠実性があること
④財産的基礎、金銭的信用があること
⑤許可を受けようとする者が一定の欠格要件に該当しないことの5つです。
具体的にみていきましょう。
(1)経営業務の管理責任者がいること★★★
『経営業務の管理責任者』(略して「経管」(ケイカン)と言われます。)とは、その営業所で営業取引上対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験を有する者をいいます。
この要件は、経営者としての経験が十分にあるのかを見るための要件です。
経営者とは、法人の場合は役員(監査役は除く)、個人事業主の場合は代表か支配人のことを指します。
経験が必要なので、資格等で代用することはできません。
2「経営経験とは何?」
経営経験については、簡単にいうと
1)5年以上、○○工事業を行う会社の役員または個人事業主の経験があること
または
2)6年以上、特定の○○工事業に関わらず建設業を行う会社の役員または個人事業主の経験があることになります。
つまり、5年以上6年未満の経験があるなら、許可を取りたい業種の経験があることになり、6年以上の経験があるなら業種は関係なく、いくつでもとりたい業種の要件をみたすことになります。
例えば、内装工事業の経験が5年以上6年未満である場合は、内装工事業の許可を取ることができます。
さらに内装工事業に加えて、管工事業の許可も取りたい場合は、管工事業の5年以上の経営経験も別途必要になります。
6年以上の経営経験がある場合は、29業種すべての経営業務の管理責任者になることができます。この場合の6年の経験は、複数の業種の経験を通算して6年以上となっていても問題ありません。
行政書士が教える建設業許可の取り方 第4回 経営業務管理責任者の証明
経営業務の管理責任者の証明方法は?
建設業者の皆さま、いつもお仕事ご苦労様です。
前回は、建設業許可の取得のための一般的な5つの要件のうち、①経営業務の管理責任者がいることについて見ていきました。
今回は、経営業務管理責任者であることの証明はどうするのか見ていきたいと思います。
おさらいすると、これは経営者としての経験が十分にあるのかを見るための要件で、経営者とは、法人の場合は役員(監査役は除く)、個人事業主の場合は代表か支配人のことを指します。
そして、経営経験については、(注:○○は取得したい工事業種になります)
1)5年以上、○○工事業を行う会社の役員または個人事業主の経験があること
または
2)6年以上、特定の○○工事業に関わらず建設業を行う会社の役員または個人事業主の経験があること
つまり、5年以上6年未満の経験があるなら、許可を取りたい業種の経験があることになり、6年以上の経験があるなら業種は関係なく、いくつでもとりたい業種の要件をみたすことになります。
1 経験をどうやって証明するのか?
では今回は、これらの経験をどのように証明すればよいのか、見ていきましょう。
1)許可は持っていなかったが、軽微な工事をやってきた場合
過去の注文書または、契約書、それらがない場合は、請求書の控えを提出します。
件数は、1年に1件程度でよいところ(大阪府、京都府など)と1年に3件は必要なところ(兵庫県など)もあります。
また、個人でやってきた場合は、過去の確定申告書も提出する必要がありますが、大阪府、兵庫県のように法人であっても、確定申告書・決算書をみられるところもあります。
2)許可をもっている会社または個人として経営されてきた場合
その会社の建設業許可通知書の控え、建設業許可申請書の控えの写し、さらに過去に取締役に登記されていたかを確認するための登記簿を提出します。
3)許可を持っていた会社で営業所長、支店長をされていた場合
その会社の建設業許可申請書控えと就任されたときおよび退任されたときの変更届の写しを提出します。
4)他に、執行役員をされていた場合もありますが、これは大会社の子会社の役員だった場合など特殊な場合ですので、個別に確認が必要です。
2 常勤の証明と証明方法は?
次に、経営業務に管理責任者は許可を取得する建設業者に常勤で在籍していなければなりません。常勤とは、週40時間以上の勤務をさします。これを証明するのが、許可取得する会社の健康保険証の写しになります。
さらに、その方の名前が載った標準報酬額決定通知書の写しも要求されることがあります。
役員として常勤していれば、それなりの報酬額が発生しているだろうということで、確認されます。
3 よくある質問
最後に、よくある質問ですが、許可をとってから何らかの事情で、経営業務の管理責任者が辞めてしまい不在になった場合はどうなるのか??
この場合は、辞められた翌日から、経営業務の管理責任者の要件を充たす方がいなければ、その時点で許可がなくなってしまいます。前任者と後任者の間に空白期間がある場合も、更新手続きは出来ないことになります。
ある日突然、経営業務の管理責任者が亡くなった場合も同じ扱いですので、次の候補者の目処は日頃から付けておく方が良いといえます。
*************
次回は、要件②専任技術者がいることについて、見ていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
行政書士が教える建設業許可の取り方 第5回 専任技術者の要件は?
建設業者の皆さま、いつもお仕事ご苦労様です。
今回は、建設業許可を取得するための一般的な要件の2つめである②専任技術者がいることについて見ていきたいと思います。
専任技術者は経営業務管理責任者と並んで、建設業許可を取るうえでとても大事な要件になります。この二つは同じ人が兼ねることもできます。
1 専任技術者とは
(1)専任技術者って何?
専任技術者とは、建設業に関する一定の資格または経験を有する技術者をいいます。各営業所ごとに、専任で配置していることが必要です。
「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事している人のことをいいます。一般建設業の場合、以下の条件のいずれかを充たす必要があります。
(1)申請業種に関して法定の資格免許を有する者。(1年以上の実務経験が必要な場合あり)
(2)学歴の有無を問わず、申請業種について10年以上の実務経験を有する者
(3)大卒または高卒等で、申請業種に関連する学科をおさめた後、大卒は3年、高卒は5年以上の申請業務についての実務経験(建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験)を有する者
の3つのうちのどれかに該当する必要があります。
少し詳しく見てみましょう。
「法定の資格免許を有する」というのは、こういう資格を持っていることという意味で、建築士、建築施工管理技士、土木施工管理技士、建設機械施工技士など、建設に関する多数の資格があります。
そしてそのお持ちの資格によって、申請できる許可業種が決まることになります。
例えば、1級建築施工管理技士の資格がある方は、建築一式、大工、左官、とび・土工・コンクリート、石、屋根、タイル・れんが・ブロック工事など最大16業種を取得することができます。
資格の種類、等級によって該当する業種がそれぞれ決められています。難易度の高い資格は、その分、取れる業種もたくさんあります。ですので、これから資格を取得してみようかな~と考えられる方は、該当する業種をしっかりと確認してチャレンジして下さいね。
※技能士という資格もあります。
技能士とは、各都道府県の職業開発能力協会が実施する技能検定に合格した人に与えられる国家資格です。技能検定は、その方の技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度です。
技能検定は全部で127職種の試験があり、その合格した職種によっては、建設業許可の専任技術者になることもできます。
検定には、3級から1級、その他、特級、単一特級というレベルもあります。受験資格は学歴や実務経験によって異なります。また、等級によって、資格だけではなく実務経験も必要とされることがありますので、随時、確認して下さいね。
(2)実務経験って何ですか?
実務経験とは、建設工事の施工に関しての技術上のすべての職務経験を言います。この職務経験には現場監督技術者としての経験や、土木やその見習いとしての経験も含まれます。
ただし、現場掃除など雑務のみの場合は経験には含まれません。
また、専任技術者の実務経験は、従業員としての経験も含まれるので、経営業務の管理責任者が主に取締役などの経営経験しか認められなかったのとは異なります。
そして、この実務経験は、通常10年間の証明が必要になります。
一人で認められるのは、10年間で1業種だけに限られていますので、複数の業種を同時に経験していても選ばなければなりません。
仮に一人で複数の業種で専任技術者になろうとすると、原則、業種の数×10年ということになります。
ただ、例外として一式工事(例えば、土木一式など)の経験を専門工事に振り替えることができる場合がありますので、2業種とりたい場合でも、必ずしも20年の経験が必要というわけではなく、18年、16年と必要とされる経験期間が少し短縮される場合があります。
さらに、これら実務経験の内容の証明方法については、申請先の行政庁によってかわるので確認が必要です。
以下は概ねですが、建設業許可がある業者で、かつ実務経験を積んできた場合、その許可業者が提出した建設業許可申請書や決算変更届で実務経験を証明する期間分を提出することで証明します。
建設業許可のない業者での実務経験を証明する場合、工事をしたことが分かるような契約書または注文書で証明します。それらがない場合は、請求書控えと入金が分かるような通帳のセット等で証明します。
また、常勤であることの証明方法としては、社会保険証や厚生年金加入記録など、会社役員だった場合には、確定申告書の役員報酬明細で、個人事業主だった場合には、確定申告書によって証明が可能です。
(3)経営業務の管理責任者と兼務できるの?
最後に、同一営業所内であれば、複数の業種の技術者を兼ねることができます。しかし、他の営業所の専任技術者を兼ねることはできませんので、営業所を複数お持ちの場合は、各営業所ごとに一人、技術者を置く必要があります。
また、同一営業所内であれば、経営業務の管理責任者と専任技術者とはそれぞれの要件を満たせば、一人で兼ねることも出来ます。もっとも経営業務の管理責任者は、主たる営業所にいることになるので、兼ねている場合は主たる営業所の専任技術者になります。
******************
いかがでしょうか。専任技術者の要件は充たしそうですか?
次回は、その他の3つの要件(誠実性を有すること、財産的基礎または金銭的信用を有すること、欠格要件に該当しないこと)について、見ていきたいと思います。
★★★★
1 5つの要件を再確認しておきましょう。
①経営業務管理責任者の要件
②専任技術者の要件
③誠実性を有すること
④財産的基礎または金銭的信用を有すること
⑤欠格要件に該当しないこと
さぁ、これら5つの要件を充たしていることが確認できれば、早速、申請のための書類を準備しましょう。様式が各都道府県によって決まっていますので、各県のホーム―ページからダウンロードして下さいね。
2 申請書類の一覧と注意すべき点
まず、必要な申請書類の一覧と注意点を見ていきたいと思います。(約30項目あります。)
※要件をみたしていることについての証明書類については、申請書類を見た後に記載しますね。その後、添付書類として必要な証明書類等もみていきます。
(1) 建設業許可申請書(様式1号)
法人の場合、法人番号記入欄がありますので、記載して下さい。
不明な方はネットから「法人番号検索サイト」の入局して調べて下さいね。
申請書には、法人の場合は代表者印が、個人の場合は個人の実印が必要です。
(2) 役員等の一覧表(別紙1)
法人の場合のみ必要です。役員全員の情報を記入します。監査役も記入が必要です。
(3) 営業所一覧表(別紙2(1))
営業所を記入します。
(4) 証紙貼り付け欄(別紙3)
新規許可申請の場合は、9万円分の県証紙を購入して貼り付けます。県証紙は、土木事務所の近くに売り場がありますので購入して下さい。
(5) 専任技術者一覧表(別紙4)
専任技術者が複数いる場合は、営業所ごとに記載します。
※証明書類は後述します。
(6) 工事経歴書(2号)
新規許可申請前の事業年度1期内の工事経歴を業種ごとに10件程度、工事金額の大きなものから記載します。
なお、経営審査を受けられる場合は、工事の7割程度の記載が必要です。
また、会社を設立してから1年未満の場合は工事実績がないため、「工事実績なし」と記載します。
※注意点として、業種に沿った工事と認められる工事名を記載することが必要です。
特に、建築一式を取得される場合、屋根工事やタイル工事など、工事内の一部分を取り上げて工事名に記載しても工事一式に該当するとは認められません。
あくまで建築一式に該当すると認められやすい工事名は、新築工事、改修工事などでしょう。
さらに、建築一式工事として申請する場合、金額にも注意が必要です。
一式工事というには、兵庫県の場合、少なくとも100万円以上と言われています。
これは、建築工事をさまざま含め一式工事としてなすには、それぐらいの金額は最低でもかかるでしょう、それ以下の金額の場合は、一式ではなく部分工事に該当するのではないですか、ということのようです。
(7) 直前3年の各事業年度における工事施工金額(3号)
工事実績がある場合、過去3年間の工事施工金額を記載します。工事実績がない場合でも、0ゼロと入れておきます。
(8) 使用人数一覧表(4号)
営業所ごとに従業員数を記載します。
(9) 誓約書(6号)
申請者、申請者の役員等、令3条の使用人等が欠格要件に該当しないことを誓約します。
法人の場合は代表者印、個人の場合は個人実印の押印が必要です。
(10) 経営業務の管理責任者の証明書(7号)
経営業務の管理責任者としての条件を満たしていることを建設業許可を有する者に証明してもらいます。
多くの場合、過去に役員として勤めていた会社の代表者に証明してもらいますが、自分が代表者を務めていた場合には、代表者としての自分が自分の証明をすることもあります。
経験年数が通算5年以上(または6年以上)になるように、証明書を準備します。証明者が異なっていたり、複数になっても構いません。
※証明書類は後述します。
(11) 経営業務の管理責任者の略歴書(別紙)
文字どおり経営業務管理責任者を務める者の略歴の記載です。建設業に従事した経験から現在に至るまでを記載します。
これをみて5年の経験(または6年の経験)があることが分かります。
経営業務管理責任者個人の押印が必要です。
(12) 専任技術者の証明書(8号)
申請者である会社または個人が、専任技術者を置いていることの証明です。
(13) 実務経験証明書または資格証明書、卒業証明書等(9号)
実務経験により専任技術者としての要件を満たす場合は実務経験証明書が必要になります。
注意点として、10年間の期間のどこかで経験が途切れる場合は、途切れる期間分も加算した経験年数を記載する必要があります。
また10年の経験なので、実務経験年数を1年間とした場合(例えば平成28年1月から平成28年12月まで)には、経験の内容として、主に携わった経験名と“他”と表記することで複数の工事に関与したことが表せます。(例えば、○○邸新築工事 他)
期間については、1年毎の記載の1月についてはカウントしない県もありますが、兵庫県については、きっかり10年で認めて下さいます。
※実務経験を証明する証明者の印については、証明者と証明される人が異なる場合は印鑑証明が必要になります。
次に、資格で証明する場合には、合格証書の写しが必要です。
写しには、原本であることの証明をします。
(14) 指導監督的実務経験証明書(10号)
専任技術者となる者の要件にある「一定の指導監督的な実務経験」を証明しようとするものです。「特定」の許可を受ける場合に必要となりますが、「一般」の許可のみをうける場合は不要です。
もっとも、大阪府の場合は申請書類に該当なしとして書類が必要ですが、兵庫県の場合は、書類自体が不要です。
(15) 建設業法施行令3条に規定する使用人の一覧表(11号)
令3条の使用人とは、具体的には、建設業許可を受けた支店や営業所の代表者(支店長、営業所長等)をいいます。個人事業でも支配人(支配人登記が必要)が該当します。
(16) 国家資格者等・管理技術者一覧表(11号の2)
専任技術者になっている方以外で資格等を持っている方を記載します。
(17) 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(12号)
全ての役員の方について、それぞれの略歴書を記載し個別の押印が必要です。
(18) 建設業法施行令3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書(13号)
一覧表に記載した方(使用人に該当)の略歴書です。個別の押印が必要です。
(19) 株主(出資者)調書(14号)
出資額5%以上の株主の住所、氏名、株数を記載します。
(20) 貸借対照表(法人用15号)(18号個人用)
法人設立から1年未満の場合は、決算期が未到来で記載できないため、2点のみ記載が必要になります。純資産の欄と現金預金の欄です。
純資産の欄には資本金の額を記載し、現金預金の欄には預金額を記載します。その他は空白で構いません。
これは、資本金は会社の純資産とみなされること、新規許可を取る場合には第6回で説明しましたとおり財産的基礎があることの証明として500万円以上の残高証明が必要となることから、これが設立1年未満の法人の場合であっても現金預金があるとして記載することになります。
現金保有で証明する方法以外で500万円以上の残高証明をする場合は、現金預金にはなりません。
(21) 損益計算書 完成工事原価報告書(法人のみ)(法人用16号)(個人用18号)
損益計算書も貸借対照表と同じく、法人設立から1年未満の場合は、決算期が未到来で記載できないため、「新規のため記載できません」と記載します。
(22) 株主資本変動計算書(法人のみ17号)
法人設立から1年未満の場合は、資本金欄と純資産の欄に記載します。
(23) 注記表(法人のみ17号の2)
会計処理の方法(税抜き表示か税込表示か)など重要な会計方針等を記載します。
(24) 付属明細表 (法人のみ17号の3)
(25) 定款 (法人の場合)
法人を設立した際に作成した定款の写しを添付します。定款の最後に原本証明しておきましょう。
(26) 登記事項証明書(商業登記)
法務局で取得します。申請日の3カ月以内に取得したものを添付する必要があります。他の書類の準備に時間がかかっていると有効期間が過ぎてしまったということも起こりうるので注意が必要です。
(27) 営業の沿革 (20号)
例えば、会社設立となる前身の創業年月日、会社設立日と資本金額などを記載します。
(28) 所属建設業者団体 (20号の2)
あれば記載しますが、なければ「該当なし」と記載します。
(29) 健康保険等の加入状況 (20号の3)
従業員数と役員数、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況の有無を記載し、整理番号等も記載します。
(30) 主要取引金融機関名 (20号の4)
どこの金融機関でも大丈夫です、該当する枠に金融機関名を記載します。
(31) 納税証明書
兵庫県であれば、県税の納税証明書を添付します。税金がかかっていることを確認するため添付するものなので、未納付でも問題ありません。
会社設立1年目で、納税実績がない場合には、納税不添付理由書を提出します。
納税不添付理由書には、一例ですが「新規創業であるため納税実績がなく、納税証明書が添付出来ません」と記載し、申請者の押印が必要です。
(32) 経営業務管理責任者等の要件確認資料
経営業務管理責任者の証明の回で詳しく見ましたのでこちらをご確認ください。
(33) 営業所所在図略図
営業所の所在地を示す地図です。
ネットから地図を検索して印刷したもので大丈夫です。
私見ですが、無料で見れる範囲では、ヤフー地図がその他に比べて幾分見やすい気がします。
添付書類の準備をしましょう
建設業新規許可取得取得のための書類準備は、出来そうですか?
これまで、申請書類について準備書類(1~33)と記入注意点をみて参りました。次は、添付書類のうちの法定書類についてご説明していきたいと思います。
3 添付書類(法定書類)について
申請時には申請書類だけではなく添付書類(法定書類)として必要な書類がいくつもあります。以下の書類は、市役所や、法務局等に出向いて準備する必要がある書類です。郵送での取得も可能です。
準備が整うまでに時間がかかる書類もありますので、先に証明書類の申請だけしておいて待っている間に申請書類の記入を勧められた方が良いかもしれませんね。
(1)登記されていないことの証明書
成年被後見人・被保佐人ではない旨の証明書です。
役員、令3条に規定する使用人分が必要です。
神戸又は東京の法務局で取得(1通300円)できます。
郵送の場合、取得に要する時間は短くはなってきましたが、1週間から10日はかかります。余裕をもって準備した方がいいですね。
(2)身分証明書
成年後見人・被保佐人に該当せず、かつ破産者で復権を得ないものに該当しないことの証明書です。
(3)登記事項証明書(商業登記)
直近の3カ月以内のものが必要になります。
法務局で(1通600円)取得できます。
(4)納税証明書
知事許可の場合の法人の場合は法人事業税、個人の場合は個人事業税(どちらも1通400円)。
大臣許可の場合の法人の場合は法人税、個人の場合は所得税の証明書が必要です。
取得できる場所は、知事許可の場合は都道府県税事務所、大臣許可の場合は 税務署になります。
(5)法人設立届の控え (個人の場合は、個人事業開業届出書控え)
設立から1年以内で決算期が到来しておらず、4の納税証明書が添付できない場合に必要です。
例えば、兵庫県から大阪府へ本店移転をして1年以内の場合も、大阪府での納税実績がないため、本店移転届の控えを提出します。
(6)住民票
経営業務の管理責任者、専任技術者、令3条に規定する使用人数分が必要です。
市区町村の役所・役場で取得できます。費用は市区町村によって違うので確認が必要です。
(7)残高証明書(500万円以上)
財務諸表で自己資本が500万円未満の場合は必要です。
兵庫県は、直近1カ月以内のもの、大阪府は4週間以内の発行のものが必要です。
他の書類は、3カ月以内のものであるのに対し、残高証明だけは1カ月と短いので気をつけましょう。
また、1ヶ月と4週間は似ているようですが、2~3日の差が生じる場合がありますので、注意が必要です。
(8)定款の写し(法人の場合のみ)
確認・裏付け書類とも重複していますが、法人設立の際に作成した定款の写しが必要です。
定款の最後のページに原本証明が必要な場合があります。
原本証明とは、この写しが自社の定款に間違いありません、ということを証明する文言を記載するものです。
原本証明の方法は、こちら。
(9)定款変更の議事録(定款に変更があった場合)
株主総会、取締役会の議事録を添付します。
4 定款内容が変わった場合について
定款は、会社の規則(決めごと)をまとめたものを言います。そして、会社を設立した際に、定款認証というものを公証人役場で受けます。従って、会社設立時のこの定款が設立した会社の原始定款ということになります。
もっとも、何年か運用されていくと不都合な点も出てきたりすることもありますね。定款の内容を変更したい場合、会社の重要事項については株主総会で決議すること、または取締役会で決議することが会社法上で決められています。この決議によって定款の内容を変更することができます。
そうやって定款内容に変更が生じた場合に、定款を一から作り直しまた定款認証を受けなおさなければならないとすると、時間も費用もかかるのでとても負担が大きくなります。
そこで、新しい定款の内容は、株主総会(または役員会)などで、変更した際の会議の議事録をこれまでの定款の最後に添付することで新しい内容を伴った定款とみなされることになります。
確認書類と裏付書類
建設業許可取得のための書類準備は、出来そうですか?
建設業許可の取得を真剣に考えていらっしゃるなら、まずは行動を起こすことが必要です。はじめの一歩が情報収集かもしれませんね。
今回は、確認・裏付書類についてご紹介していきます。
5 確認・裏付けが必要な書類について
今回は確認・裏付けが必要な書類について見ていきたいと思います。
これらの書類は、一つの書類で複数の証明ができるものや、各会社の性質(例えば保険加入の違い)によって準備する書類の種類が異なってきます。
少し迷われる書類もあるかもしれません。ご自分で判断してしまわずに、迷ったら専門家に相談されるのが、結局は早道になるかもしれません。
(1) 経営業務の管理責任者の「常勤」の確認について
健康保険証の写し(事業所名の記載されているもの)
兵庫県は写しで大丈夫ですが、他府県では原本証明が必要なところがありますので確認ください。
国民健康保険は、不可です。
※他に、常勤を証明できる書類でも可能です。
(2) 経営業務の管理責任者の「経験期間」の確認について
法人の場合は、商業登記簿謄本又は履歴事項全部証明、個人の場合は、所得税確定申告書の写しになります。
登記には、代表取締役、取締役の就任月日が記載されているので、それで経験期間が確認できます。
(3) 経営業務の管理責任者の「建設業に係る経営業務を行っていたことの裏付け」の確認について
法人の場合は、法人税確定申告書、個人の場合は、所得税確定申告書どちらも事業種目が明確である必要があります。不明確な場合は、裏付け資料として工事請負契約書、なければ注文書、請求書の控えなどで代替します。
(4) 専任技術者の「常勤」の確認について
健康保険証の写し(事業所名の記載されているもの)
1の場合と同じです。
(5) 専任技術者の「経験期間」の確認について
(実務で申請する場合のみ必要で、資格で申請する場合は不要です)
①健康保険被保険者証の写し
②社会保険の被保険者記録回投票の写し
③源泉徴収票の写し
④(役員の場合は)商業登記簿謄本 のいずれか
(6) 専任技術者の「申請する建設業者の実務に従事していた裏付け」の確認について
(実務で申請する場合のみ必要で、資格で申請する場合は不要です)
経験期間中に従事していた会社が建設業許可を持っていた場合は、実務経験証明書、経験期間中に従事していた会社が建設業許可を持っていない場合は、法人の場合法人税確定申告書、個人の場合は所得税確定申告書になります。
どちらも事業種目が明確である必要があります。明確でなければ、裏付け資料として工事請負契約書、注文書、請求書の控えが必要となります。
(7) 専任技術者の「資格」の確認について
(資格で申請する場合のみ必要で、実務で申請する場合は不要です)
資格者証(原本証明が必要です)
兵庫県の場合は、原本証明をするだけで大丈夫ですが、他府県では原本の提示も必要なところがありますので確認下さい。
(8) 令3条に規定する使用人の常勤の確認について
健康保険証の写し(事業所名の記載されているもの)
1の場合と同じです。
(9) 営業所の確認について
※以下は全て必要です。
①営業所の写真 ⅰ 建物の全景を写したもの
ⅱ 事務所の入口(社名や屋号がわかるもの)を写したもの
ⅲ 事務所の内部を写したもの
机やパソコン電話機、コピー機など業務を行っていることが分かる状態を写す必要があります。
②営業所の案内図(地図)
③建物謄本、土地謄本
建物、土地の所有名義が当該申請者(法人または個人)以外の所有であれば、賃貸借契約書または使用承諾書
※建物または土地が会社代表者個人の所有である場合、会社と代表者個人は別人格なので、代表者と会社間の賃貸借契約書または代表が会社に使用を承諾する旨の使用承諾書が必要です。
(10) 健康保険等に関する確認について
申請時直前の健康保険及び厚生年金保険の保険料の納入に係る領収書の写し
(11) 雇用保険の加入状況の確認について
「労働保険概算・確定保険料申告書」の控えおよびこれにより申告した保険料の納入に係る「領収済通知書」の写しの2点
※申告書と領収済通知書の金額が同じであるよう注意が必要です。
※代表者1人の場合等、加入者がいなければ不要です。
6 原本証明について
これまで、ところどころで「原本証明」という言葉をお聞きになっていると思います。例えば、定款について最後のページに原本証明して下さいね、ということがありました。
原本証明とは、原本を提出することができない書類についてその写しを提出する場合に、この書類は、確実に原本の写し(コピー)です、ということを申請者がご自分の名前で証明するものです。
次の文言を書類の写しの余白に記入するか、白紙の裏面に直接記載して最後につけて下さい。
この写しは原本と相違ないことを証明します。
令和 年 月 日
株式会社 ○○
代表取締役 ○○○○ 印
※印は会社の代表者印を押してくださいね。
**************
いかがでしたでしょうか?
申請書類の記載方法や証明書類など、分からない事は何でもお問い合わせ下さい。最後までお読み頂き、ありがとうございました。
| 弊所では、建設業許可の新規取得、更新などのご相談を承っております。 お悩み中の皆さま、お気軽にご相談ください。 お役に立てれば幸いです。 ご質問やお悩み相談は、メールもしくはお電話(通話料無料)でお気軽にご連絡ください。 |